採用担当者が今すぐできる、求人票改善チェックリスト

「求人票を出しているのに応募が来ない…」「せっかく面接に進んでも、イメージのズレで辞退されてしまう…」
このような悩みを抱えている採用・総務担当の方は少なくありません。特に中小企業では、採用専任者がおらず、他の業務と兼務しながら求人作成に対応しているケースも多いため、どうしても“とりあえず出す”求人票になりがちです。
しかし、求人票は「最初の接点」であり、「企業の顔」とも言える重要な採用ツールです。内容次第で、求職者からの応募数も、質も大きく変わります。
本記事では、検索キーワード「求人票 改善」「求人票 書き方 ポイント」を意識しながら、今すぐ実践できる改善チェックリストを10項目に分けてご紹介します。
応募数や質に課題を感じているご担当者様は、ぜひ今使っている求人票と照らし合わせてチェックしてみてください。
求人票改善チェックリスト10項目
1.タイトルに職種名+魅力が含まれているか?
求人票のタイトルが「営業職募集」「事務スタッフ募集」など、職種名だけの単調な表現になっているケースは非常に多く見られます。このようなタイトルでは、求職者の目に留まりづらく、競合他社に埋もれてしまう可能性が高まります。
特に、IndeedやGoogleしごと検索などの検索型媒体では、タイトルが検索結果にそのまま表示されるため、「その求人が誰向けなのか」「どんな魅力があるのか」が一目で伝わらないと、クリックすらされません。また、条件や魅力をタイトルに入れていないことで、求職者が「自分には合わないかもしれない」とスルーする原因にもなります。
せっかく魅力的な内容が本文に書かれていても、見てもらえなければ意味がありません。
💡改善策
職種名に加えて「どんな人に向いているか」「どんな魅力があるか」を入れるのがコツです。
例)「営業職募集」→「未経験OK|人材業界で提案営業にチャレンジ|フレックスあり」
少し長くても構いません。媒体の仕様を考慮しつつ、ユーザーが「自分に合っているかも」と思える工夫を盛り込みましょう。
2.業務内容が具体的に書かれているか?
「営業業務全般」「採用業務を担当」といった曖昧な表現で終わっている求人票では、実際にどんな仕事をするのかが伝わりません。これでは、求職者は不安を感じてしまい、「思っていた業務と違ったら嫌だな」と応募を控える可能性があります。
とくに未経験者や異業種からの転職希望者にとっては、業務のイメージが湧かないこと自体が心理的ハードルになってしまいます。また、詳細がわからないと、自己PRや志望動機も書きにくく、結果的に「応募しにくい求人」になってしまうのです。
さらに、業務内容が抽象的だと、選考に進んだ後のミスマッチ(「聞いていた内容と違った」)による辞退や早期離職のリスクも高まります。
💡改善策
業務内容は、「具体的なタスク+業務の流れ」で記載しましょう。
例)「法人企業に対する採用課題のヒアリング〜提案〜アフターフォローまでを一貫して担当。商談はオンライン8割。使用ツール:Zoom、Slack、Salesforce」
1日の流れ、どんなチームと連携するのか、ツールは何を使っているのかなども書くと、働くイメージがぐっと湧きやすくなります。
3.応募条件と歓迎条件が明確に分けられているか?
「◯◯の経験がある方歓迎」「Excelが使える方優遇」といった文言を羅列するだけで、必須か任意かが曖昧になっている求人票はよく見受けられます。
この状態では、求職者は「条件にすべて当てはまらないと応募できないのでは?」と誤解してしまい、本来なら十分にマッチする人材まで応募を控えてしまうリスクがあります。
特に、女性や若年層、経験年数が短い人材は、自信のなさから「書かれている条件にすべて合致しないと応募してはいけない」と感じやすく、母集団形成に大きな影響を与えることになります。逆に、要件が緩すぎても「どんな人を求めているのか分からない」と思われてしまい、ミスマッチが発生しやすくなります。条件は、明確かつ的確に、かつ“線引き”して書くことが非常に重要です。
💡改善策
「必須条件」と「歓迎条件」を明確に分けて表記し、各条件に理由や背景があれば一言添えると親切です。
例)
【必須スキル】
・基本的なビジネスマナーをお持ちの方
・社会人経験1年以上
【歓迎スキル】
・営業職の経験(業界不問)
・採用関連の業務経験
このように整理することで、求職者にとって自分が「応募して良いか」の判断がしやすくなります。
4.勤務地・勤務時間・休日制度が正確に書かれているか?
「リモートOK」「フレックス制度あり」「週休2日」など、働き方に関する情報が曖昧な表現になっていると、求職者は「どこまで自由なのか」「本当に制度が使えるのか」といった疑念を抱きやすくなります。
とくに近年は、リモートワークや副業、ワークライフバランスを重視する傾向が強まっており、働き方に関する詳細は応募の意思決定において非常に大きな要素です。
求人票に記載された情報と、実際の働き方にズレがあると、選考辞退や早期離職につながるケースも珍しくありません。「イメージしていた働き方と違った」となると、企業にとっても採用コストの無駄になってしまいます。
💡改善策
「フレックスあり」「リモート可」だけではなく、実際の勤務パターンや制度利用の実態まで記載しましょう。
例)「週2日までリモート勤務可/フレックス制度導入(コアタイム10:00〜15:00)/残業は月平均10時間程度」
このように“働き方のリアル”を伝えることで、価値観の合う応募者を惹きつけることができます。
5.給与レンジ・評価制度の記載があるか?
「当社規定により決定」「面談時にご説明します」といった形で、給与がぼやかされている求人は、応募者から敬遠される傾向があります。
給与が明示されていないと、求職者は「もしかすると自分の希望に合わないかもしれない」「応募しても条件が合わなかったら時間のムダ」と感じ、そもそも応募をためらってしまうのです。
また、給与だけでなく、評価制度や昇給のタイミング、インセンティブの仕組みなどが記載されていないと、将来的なキャリアや待遇のイメージも描きにくく、「長く働くビジョンが持てない」という不安要素にもなります。特に若手層や転職回数の少ない層ほど、こうした「制度の見える化」が安心感を与える材料になります。
💡改善策
最低金額〜上限レンジ+評価の基準や昇給のタイミングなど、具体性を持って記載しましょう。
例)「月給25万円〜35万円(経験・スキルに応じて決定)/賞与年2回(6月・12月)/年1回昇給面談あり」
また、評価基準が明確であれば、「成果を出したら正当に評価される」という安心感を与えることができます。
6.企業のミッション・ビジョンが伝わっているか?
業務内容や条件面だけを記載した求人票は、一見シンプルでわかりやすいように見えますが、企業の方向性や価値観が伝わらないため、共感を得られにくくなります。とくに、ミレニアル・Z世代などは「何のためにこの仕事をやるのか」「どんな社会的意義があるのか」といった“why”の要素を重視する傾向があります。
また、会社の考え方に共感したうえで入社した社員の方が定着率が高いというデータもあり、企業のパーパスやビジョンを伝えることは、採用の成功率だけでなく、入社後の活躍にも大きく影響します。
求人票で「この会社、なんかいいな」「価値観が合いそうだな」と思ってもらえなければ、いくら条件がよくても他社に流れてしまう可能性があるのです。
💡改善策
「私たちは何を目指している会社なのか」をシンプルに、1〜2文で伝えるようにしましょう。難しく構える必要はなく、企業理念や行動指針、事業の社会的価値などを、自社らしい言葉で書くのがポイントです。
例)
「“人の可能性を最大化する”をミッションに、企業の採用課題に向き合っています」
「“誰もが自由に挑戦できる社会”を目指し、IT人材と企業をつなぐプラットフォームを運営中」
ビジョンに共感してくれた応募者は、長期的に活躍・定着しやすくなります。
7.写真や動画など視覚情報があるか?
文章だけで構成された求人票では、職場の雰囲気や社員の表情といった「空気感」が伝わらず、求職者にとっては“無機質な情報の羅列”になってしまいがちです。特にWantedlyやGreenなどのビジュアル重視型媒体では、視覚情報の有無が応募率を大きく左右します。
どれだけ文章で魅力を語っても、「本当に雰囲気が良いのか?」「どんな人たちと働くのか?」という問いに応えられなければ、信頼性は薄れます。
また、写真や動画がないことで、社内の多様性や働き方の柔軟性が伝わりにくく、特定の層(女性・子育て世代・外国籍人材など)からの応募機会を失うことにもつながります。
💡改善策
実際のオフィス風景、働いている社員の様子、ランチ風景やイベントなど、リアルな職場の雰囲気が伝わる写真を用意しましょう。スマホで撮影した自然な写真でも構いません。
例)「月1開催の社内イベント風景」、「チームミーティング中の風景」、「業務中の1コマ」
動画が用意できれば、さらに効果的です。1〜2分程度の社員紹介動画などは、仕事・人・文化を一気に伝える強力な手段になります。
8.募集背景が明記されているか?
求人票に「なぜそのポジションを募集しているのか」が書かれていないと、求職者はさまざまな不安を抱きがちです。
たとえば「業績悪化による欠員補充なのでは?」「人がすぐ辞める職場なのでは?」といったマイナスの想像をしてしまい、せっかく条件や仕事内容が魅力的でも、応募を見送ってしまうケースがあります。
一方で、組織拡大による増員や新規事業立ち上げによる募集など、前向きな背景がある場合は、それ自体が“成長性”や“チャレンジできる環境”として、魅力に転化できます。背景を語らないこと自体が、チャンスの損失になっているのです。
💡改善策
募集背景は1〜2文で構いません。簡潔にかつ前向きなトーンで説明するよう心がけましょう。
例)
「導入企業の増加に対応するため、カスタマーサポート体制の強化を行っています」
「事業拡大に伴い、新たに営業メンバーを増員します」
また、チーム規模や現状の課題感などを添えると、よりリアルさが増し、求職者が「自分が活躍できそうな場面」を想像しやすくなります。
9.キャリアパスの記載があるか?
「採用したら何をしてもらうか」は書いてあっても、「その後どう成長していけるのか」「どんなポジションを目指せるのか」が書かれていない求人票は、長期的な視点を持つ求職者にとっては物足りない情報です。
とくに成長意欲の高い人材や、30代以降の中堅層、エンジニアやコンサルタントなど“キャリアの積み上げ”を重視する職種においては、キャリアパスの提示が応募判断のカギになります。
また、入社後の評価制度や、役職へのステップアップが明示されていないと、「今だけの仕事」として受け止められ、モチベーションの高い層の取りこぼしにつながります。
💡改善策
将来的にどんな役割やステージが用意されているのかを、具体的に記載するようにしましょう。
例)
「将来的には部門責任者や新規事業開発への挑戦も可能です」
「入社1年目は既存クライアント対応を中心に、3年目には新規開拓チームのリーダーとしてマネジメントをお任せする予定です」
役職や役割だけでなく、スキルアップ支援制度(資格取得補助、研修など)も合わせて記載すると、より魅力的なキャリア設計として伝わります。
10.応募〜内定までの流れを記載しているか?
求人票に選考プロセスが書かれていない、または曖昧な場合、求職者は「何ステップあるの?」「どれくらい時間がかかるの?」と不安になります。これにより、せっかく興味を持っても応募を控える、もしくは途中辞退の確率が高くなってしまいます。
また、スピード感のある選考を希望する人材(特に転職活動中の即戦力層や現職中の人)にとっては、先に“所要期間”や“フロー”を明示している企業の方が好印象です。
さらに、選考にかかる所要日数がわかっていれば、候補者側もスケジュール調整がしやすく、面接キャンセルなどの機会損失も防げます。採用側・応募側双方にとって、スムーズなコミュニケーションを生む第一歩です。
💡改善策
選考ステップとそれぞれの形式、所要日数の目安を簡潔に記載しましょう。
例)
「面接は基本的に平日夜や土日も対応可能です」
「選考フロー:書類選考→1次面接(オンライン)→最終面接(対面)→内定(全体で2週間以内)」
こうした情報は「安心して応募できる」心理的ハードルを下げ、応募率の改善につながります。
求人媒体ごとの注意点(簡易版)
求人票は「どの媒体に出すか」によって、最適な書き方や強調すべきポイントが変わります。ここでは、代表的な3つの求人媒体について、特に注意すべきチェックポイントをまとめました。媒体の特性を理解し、より効果的な運用につなげましょう。
Indeed:検索キーワードとタイトルが一致しているか?
Indeedは“検索エンジン型媒体”であるため、SEO対策が極めて重要です。
求職者はGoogleと同じようにキーワードを使って検索します。つまり、タイトルや本文に“求職者が実際に検索しそうな言葉”が含まれていなければ、そもそも表示されません。
よくある失敗例としては、「未来を創るチャレンジ営業!」のようにクリエイティブすぎるタイトルです。魅力的に見えても、「営業」「法人営業」「未経験OK」などのワードが入っていなければ検索ヒットしません。
- タイトルには必ず「職種名+訴求要素(未経験OK/リモート可など)」を含める
- 本文にも主要キーワードを自然に織り込む(※詰め込みすぎはNG)
- 見出し(H2、H3)にもキーワードを含めてSEO強化
- 「法人営業/未経験歓迎/IT人材業界でキャリアを築く」
- 「営業職|フルリモートOK/土日祝休み/反響型メイン」
キーワード設計が最適化されているだけで、クリック率・表示順位が大きく変わります。
Wantedly:カルチャーや働く人の魅力が伝わっているか?
Wantedlyは“共感型マッチング媒体”であり、求職者は「人」「想い」「カルチャー」に強く惹かれます。他媒体と異なり、給与や条件の明記ができないため、「仕事内容が良さそう」だけでは応募されません。
「どんな想いで事業をやっているのか」「どんな人たちと働けるのか」が伝わるかどうかが肝になります。
- ストーリー記事コンテンツを活用し、人や文化を見せる
- ミッション・ビジョン・バリューを明確に打ち出す
- 写真を活用して“雰囲気が伝わる”工夫をする
- 「メンバーの8割が20代。フラットな関係性の中で成長を支え合う文化があります」
- 「未経験からリーダーへ。3年でキャリアアップしたメンバーの声をご紹介」
条件だけではなく、価値観や成長環境に共感してもらうことが応募につながります。
Green:技術スタックや開発体制を記載しているか?
GreenはITエンジニアやWebデザイナー向けの媒体で、専門性の高い読者が多いのが特徴です。
そのため、「どんな技術に携われるのか」「どんな開発環境か」「どんな体制か」が伝わらなければ、興味を持ってもらえません。逆に、技術的な詳細をしっかりと記載できれば、他媒体よりも応募確度が高まります。
- 使用言語・フレームワーク・クラウド環境など、技術スタックを明記
- 開発フロー(アジャイル/ウォーターフォールなど)やチーム構成を説明
- CTOやエンジニアインタビュー、技術ブログとの連携も有効
- 「開発言語:TypeScript/React/Node.js、インフラ:AWS、CI:GitHub Actions」
- 「スクラムチーム体制(1チーム5名)、デザイナー・PM・QAと密な連携」
Greenは「技術がわかる人が見ている」媒体と捉え、抽象的な表現ではなく“開発現場のリアル”を丁寧に記載しましょう。
まとめ:求人票は“最初の面接”と考えて、見直しを
求人票は、求職者にとって企業との「最初の接点」であり、実質的には“最初の面接”です。
タイトル、業務内容、条件、文化、キャリアパスなど、あらゆる情報が「この会社は自分に合いそうかどうか」を判断する材料になります。
今回ご紹介した「求人票 改善」「求人票 書き方 ポイント」のチェックリストや媒体別対策をもとに、ぜひ一度、今掲載している求人票を見直してみてください。
小さな改善の積み重ねが、応募数の増加や質の向上、さらにはミスマッチ防止・採用工数の削減にもつながります。
採用活動の第一歩=求人票改善。
今日から取り組めることから、始めてみましょう。