なぜ辞退される?内定辞退を防ぐために採用担当ができること

「やっと出した内定だったのに、辞退されてしまった」
そんな経験をした採用担当者の方は少なくないのではないでしょうか。選考を重ね、複数の社内メンバーが時間をかけて丁寧に対応してきたにもかかわらず、最終的に辞退される――これは単なる“縁がなかった”だけではなく、採用プロセスやコミュニケーションの設計に、改善すべき点が潜んでいる可能性があります。
特に昨今は、候補者の価値観が多様化し、情報収集力も高まっているため、採用側が従来通りの対応をしているだけでは「他社に負けてしまう」リスクが高まっています。
本記事では、「内定辞退 防ぐ」「採用 辞退される 原因」といったキーワードを踏まえながら、企業の採用担当者が明日から実践できる具体的な工夫を、実例やデータを交えてわかりやすく解説します。
なぜ内定辞退は起きるのか?その主な原因
1.他社との比較で後れを取っている
内定辞退の最大の理由の一つが、他社との比較において魅力で劣っていると候補者に判断されてしまうことです。特に複数社から内定を得ている優秀な人材ほど、待遇・社風・成長環境・ワークライフバランスなどを総合的に見て、最も納得感のある選択をしようとします。

(※引用・参考)株式会社インタツアー(株式会社 PR TIMESのニュースリリース配信サービス記事より):【23~24卒 内定承諾・辞退の決定要因調査】23卒の75%は選考・内定辞退経験あり。辞退の決定的要因は「面接官の印象が悪い」
株式会社インタツアーの調査によると、「辞退理由」の上位には「他社の方が魅力的だったから」がランクインしています。これは裏を返せば、候補者が比較する材料をきちんと提供できていない、もしくは他社よりアピールが弱かったことが原因とも言えるでしょう。
競合他社がどのような訴求を行っているかを把握した上で、自社の強みを的確に伝えなければ、候補者の心を動かすのは難しいのです。
2.入社後の不安が解消されていない
候補者は内定を得た時点で、「本当にこの会社でやっていけるのか?」「自分に合った環境なのか?」という“入社後のリアル”を想像し、不安に駆られることがあります。特に、社内の雰囲気や配属部署の具体像、人間関係、評価制度など、働く上での「目に見えにくい情報」が不足していると、不安が膨らみ辞退につながります。
とりわけ若手人材は「自分が成長できるか」「心理的安全性があるか」に敏感です。たとえ待遇が整っていても、カルチャーフィットや職場環境に懸念があれば、安心して入社を決断することはできません。
3.自社の魅力が正しく伝わっていない
企業としての魅力があっても、それを候補者に正しく伝えきれていないケースも見逃せません。ホームページや求人票、面接官の話す内容が“無難な説明”に終始してしまうと、候補者には「他と変わらない会社」という印象しか残らず、選ばれる理由にはなりません。
特に、応募段階から候補者が得る情報と、実際の面談・面接で受ける印象にギャップがある場合には、期待と現実のズレから辞退につながるリスクがあります。
候補者が最も知りたい情報は、「自分がここでどのように働けるのか」「何を期待されているのか」といった具体的なイメージです。
内定辞退を防ぐために採用担当ができること

1.スピード感をもった選考対応
多くの企業が見落としがちな点が、“意思決定のスピード”です。候補者は複数の選考を並行して進めていることが多いため、選考プロセスが長引くと「熱が冷めてしまう」危険性があります。
エン・ジャパンの調査では、選考期間が2週間を超えると辞退率が20%以上上昇するという結果も出ています。
スピーディに連絡を返す、面接日程の調整を候補者の都合に合わせる、内定後の連絡を即日行う――といった細かな対応が、候補者の信頼感につながり、辞退を防ぐ効果を生みます。
2.選考中から入社後をイメージさせるフォロー
選考段階から「入社後の働き方」を具体的に伝えることで、候補者の不安を払拭することができます。たとえば、配属予定チームの紹介資料を共有したり、入社後1〜3ヶ月のオンボーディングスケジュールを説明したりすることで、「自分が入った後の姿」を想像しやすくなります。
また、実際に配属先の社員と顔を合わせる機会を設けることで、相性を見極める材料にもなり、安心材料となります。こうしたフォローは「内定辞退を防ぐ」ための信頼構築に直結します。
3.候補者ごとに合わせた懸念点の解消
候補者が何に不安を感じているかは人それぞれです。給与や待遇ではなく、評価制度やワークライフバランスに不安を抱えている場合もあります。
面接時や合否連絡後のフォロータイミングで「何か懸念に思っていることはありますか?」と丁寧に確認し、個別に対応策を提示することで、候補者の迷いを払拭することが可能です。
中には、将来のキャリアステップに不安を抱えている候補者もいるため、「どのような人材がどのように昇格・昇給していくのか」といった実例を提示することも、辞退防止には有効です。
採用現場で効果的だった対策事例

1.オファー面談の実施と内容の工夫
ある企業では、内定通知の直後に「オファー面談」を設け、内定条件だけでなく、「あなたのどこに期待しているか」「入社後にどんな活躍をしてほしいか」までを丁寧に伝える工夫をしています。
このような“個別メッセージ”は、候補者にとって「自分のことをきちんと見てくれている会社」という印象を与え、承諾率の向上につながります。
数字としても、オファー面談導入後に内定辞退率が30%から10%以下に改善した企業も存在します。
2.先輩社員とのカジュアルな接点づくり
候補者は「一緒に働く人」がどんな人なのかを非常に重視しています。ある企業では、内定通知後にオンラインでカジュアルに先輩社員と話す機会を設定し、仕事のリアルや雰囲気を直接伝えています。特に20〜30代の若手候補者には好評で、「実際の声が聞けて安心できた」との声も多数あります。
こうした施策は、“企業からの一方通行の情報提供”ではなく、“人から人への信頼構築”につながり、辞退の防止に寄与します。
3.内定後アンケートの活用による改善サイクル
内定を出した後、辞退された場合に「なぜ辞退したのか」を追わずに終わってしまう企業も多く存在します。しかし、辞退理由を定期的にヒアリングし、傾向を可視化することは、長期的な改善サイクルをつくる上で非常に重要です。
たとえば「他社の方が成長環境を提示してくれた」「社内の人の印象が薄かった」など、アンケートで得られた声をもとに、改善点を特定し、次の採用に活かすことができます。これにより「採用 辞退される 原因」への理解が深まり、辞退率を根本から下げることが可能になります。
まとめ:候補者に“選ばれる企業”になるために
内定辞退は、企業にとって大きなコストロスであり、採用活動全体の成功率を左右する重大な問題です。しかし、その多くは“運”ではなく、採用プロセスやコミュニケーション設計によってコントロールできる領域です。
「内定辞退 防ぐ」ためには、候補者の立場に立った設計やタイミング、そして情報の透明性が求められます。自社の魅力を正しく伝え、不安を一つひとつ丁寧に取り除いていく――その姿勢こそが、最終的に「この会社で働きたい」と思わせる決め手になるのです。
常に候補者の声に耳を傾けながら、自社の採用プロセスを見直し、改善していく。その積み重ねが、辞退を減らし、採用成功を実現する確かな道となるでしょう。