『ジャッジ』はもう古い?! マッチした人材を確実に採用する『アセスメント』型面接のススメ

2023.12.04

面接そのものについて、深く考えたことがある採用担当者は一体どれだけいるでしょうか。

面接は、採用に欠かせないプロセスの一つです。
ただ採用活動における課題の一つに、面接官による評価の個人差 があります。

面接の評価は個人の主観が入ることも少なくないため、面接官によって評価や判断が分かれるケースが起こりやすいです。

今は企業が求職者に選ばれる時代です。
面接でいかに求職者への理解を深めた上で、主観が入ることなく自社の魅力を伝えることが出来れば求職者の入社意欲は上がるでしょう。

1.面接をすること=ジャッジをすることではない

ジャッジという単語を面接で使うことがよくありますが、合否を一方的に判断するような印象があるかと思います。

通常ここでジャッジするのは企業側ですが、求職者の魅力が今一つ伝わってこない場合に果たしてそれは求職者のプレゼンテーション能力不足だけが要因と言えるのでしょうか。

例えば、求職者にはAという魅力を持っていたが、面接官がBについてしか質問をしませんでした。これによりAの話がしたくても聞かれていないのでアピールすることはこの時点でできなくなってしまいます。

このような事例を踏まえると、そもそも魅力を引き出す質問ができなかった面接官にも責任はあるといえるではないでしょうか。

では実際に精度の高い「アセスメント型面接」を実施するためにはどのような考え方に基いて実践していけば良いのか。

この具体的な方法について解説していきますので、今現在行っている面接と照らし合わせていくとよりやるべきことが見えてくるのではないでしょうか。

2.アセスメントとは

「調査に基づいた客観的な評価・査定・分析」という意味。
英語で評価や査定を指す「assessment」が語源となっています。

臨床心理学におけるアセスメント(心理査定)のアプローチの一種で、古くから用いられている採用手法です。

方法はとてもシンプルかつわかりやすいものになっており、
あらかじめ評価の基準や質問する項目を決めておいて、手順通りに面接実施をしていくというものになっています。

このようにマニュアルに沿って実施すれば、誰が面接官でも面接の評価が安定しやすくなります。

また面接官による評価のバラつきを抑えることにより、募集ポジションに最適な人材を確保することができるのです。

この方法は、企業だけでなく求職者にとっても公平な選考を受けられるというメリットがあるため近年このアセスメント型の面接が注目されています。

3.「状況面接」・「行動面接」で求職者の志向や誠実さなどのメンタル面の見極めをする

行動面接とは、求職者の過去の行動を掘り下げる質問を中心とした面接です。

行動は、求職者の資質や元々の性格から生まれるもので、行動を分析し、
その裏に隠れている真の能力や志向性、その行動の背景、誠実さを測ることができます。

具体的には「あなたがこれまでの経験の中でもっとも苦労したこと教えてください」といった質問を皮切りに当時の  状況→課題→行動→成果  を順に掘り下げて聞いていきます。

●行動面接の質問事例●

状況
「どのような組織で、どのようなチーム体制でしたか」

「あなたはその組織、そのチームでどんな役割でしたか」

課題
「どのような目的・目標を掲げていたのですか」

「トラブルの理由はなんですか」

「問題点に気づいたきっかけはなんですか」

行動
「その課題解決はどのように行いましたか」

「どのような計画を立てましたか」

「課題解決に向けた具体的な行動は何ですか」

成果
「課題はどれだけ解決できましたか」

「計画通りに実行できましたか」

「その中でもっとこうすればよかったという点は」

「課題解決の取組み後、どのような変化がありましたか」

その一方で状況面接は、「もし、○○な状況にあったらどのような行動をしますか」
といった具合に、面接官側で設定した架空の状況に対して、どのような考えを持ち、行動するのかを答えてもらうものです。

こちらも行動面接と同様に、具体的な話を掘り下げて聞いていくことで隠れていた本音を引き出し、求職者の本質に迫ることができます。

4.求職者を公平に見極めることにフォーカスする

面接で、「聞きたいことは聞けたつもりだったが、いざ選考になると質問内容が浅く見極めに困ってしまう」という経験に心あたりがある採用担当者の方は割と多いのではないでしょうか。

こういった経験があると、候補者が事前に答えを用意できるような質問をしてしまう傾向にあるのです。

分かりやすい質問例は、
・「自社の志望理由を聞かせてください」
・「入社したらどんなことをしたいですか」
求職者が「きっと聞かれるだろう」と想定し、適切な答えを用意して面接に臨んでいるケースが大半です。

面接は、少しでも自身をよく見せようと入念な準備をする求職者がほとんどです。
その準備をしっかりするといった行為自体はポジティブに評価できるのですが、その半面、面接で見せる姿や言動は取り繕ったものになりがちで、求職者の真の能力は見えづらくなります。

こういった質問はしっかり意図があって行うことは問題ありません。

しかし明確な意図がなければ注意が必要です。
求職者の本質を見極めるにあたり、アセスメント型面接を行い焦点を絞ったほうがよいでしょう。

5.まとめ

ここまでご説明しましたが、質問自体は真新しいものではないので、
「日頃からやっている!」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、それはあくまでも個人の話であり組織としてどの面接官が担当しても評価に差が出ないように仕組化をされている企業は案外少ないのではないでしょうか。

面接官によって評価基準がバラつくことに悩まれている方、求職者の見極めに苦労されている方は、今一度このアセスメント型の面接を実践されてみてはいかがでしょうか。